1998年5月8日この日は夕方から激しい雨が降っている中、商工会議所で行われている青年会議所の総会に、青年劇場の演劇「愛が聞こえます」の説明をするためにAさん達が行っています。私も遅れてインターネット上のホームページの説明の為に駆けつけました。青年会議所でもインターネットを活用した活動を考えていると言うことで私の話を熱心に聞いていただきました。
私がインターネットの説明を青年会議所のIさんに話している間に、前打ち合わせを終えたAさんや中央公民館のNさん達は2階へ。ところが階段下でなにやらもめている。
古い建物の為に階段が急で手すりも高い位置にしかない。誰かに背負ってもらうか、それとも1人で上がるかをやっています。
結局本人の意思で、クラッチを1本もって片手で手すりに捕まって昇ることになりました。もし誰も近くにいなければ片手にクラッチを2本もって昇ることになるそうです。現在のAさんにとっては階段の上り下りはとても大変な作業で、歩みはとてもゆっくりです。でも一歩あゆみだしたら私達は手を出したくても出せる雰囲気ではありません。Aさんとしてはとても真剣なのです。
商工会議所を出てからAさんと食事へ。この日は夕方から降っていた強い雨がいっこうに降り止まず道路が川になっています。暫く様子を見ていたのですが小降りになる様子もないのでいつもの様に車を入り口に横付けしました。
Aさんはクラッチを使ってなだらかなスロープを降りていきます。両手がふさがっているためにAさんは傘がさせませんから、私は後ろからAさんに傘をさします。しかしAさんは「私には傘は不要ですから」と冷たくいわれてしまいました。雨に濡れてしまうのはいつもの事なのでしょう。確かに脇に並んで傘をさすとクラッチの邪魔になってしまいかえって危険そうです。
その時です。後ろから傘をさしながら「よく降るなー」と空を見上げた途端に”バタン”とAさんが転んでしまいました。どうもスロープに張ってあるタイルの目地に靴が引っかり、濡れたタイルの為にクラッチが滑り、バランスを崩してしまったようです。
ファミリーレストランの入り口や階段は高級感を出すためか滑りやすい材質が使われています。初めの頃にもAさんからの指摘を聞いたことが有りましたが、まさか私の真横で本当に転んでしまうとは思っても居ませんでした。また駅のホームも雨に濡れているととても滑りやすいのだそうです。
Aさんの2本のクラッチは本当に自分の足代わりなのです。クラッチの取っ手をしっかり握り、クラッチ上部の輪に腕を通した状態で全体重をかけています。もしこの状態でクラッチが滑ればAさんは転んでしまうのです。
それも前かがみな状態でクラッチに体重をかけているわけで一端滑れば前向きに倒れてクラッチを手に持っているAさんは両手を付くこともできないまま顔面を強打してしまうことになります。更にクラッチがどこかに引っかかって無理な体勢のまま転べば腕や肩の捻挫か最悪骨折もしかねません。やっぱり滑りにくい材質の採用を進めて貰いたいものです。
幸い今回は顎や顔を打つこともなく、本人曰く「綺麗に転べた」そうですが、よそ見をしていた私は付き添い失格でした。御免なさい。